彫りが生み出す加飾の美 輪島塗 沈金

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徒弟制度とは

沈金師になるためには、職場を訪ね親方の許しを得てそのもとに弟子入りし、年季奉公(ねんきほうこう)をすることが通例です。これを徒弟制度(とていせいど)と言います。昔は住み込みで奉公するものでしたが、現在は自宅から通う場合がほとんどです。また戦前は年季も10年や8年という長い期間勤めるものでしたが、近年になり、沈金組合で年季明けには3年以上の奉公と親方が一人前と認めることを要すると定められたため、現在では3年を基準に年季奉公の区切りをつけるようになっています。

 もともとこうした徒弟制度において弟子になるということは親方と家族同然になるということでもあり、新米の弟子は沈金の作業だけではなく、掃除や片付け、使いなど親方の家の雑務も行いました。年季奉公している間は小遣い程度の報酬を受け取るのみで、お盆・お正月休み以外は休みも少ないため、とても過酷な修行とされていますが、沈金師を一生の仕事と決めた人にとって3年間切磋琢磨しやり通すことは沈金師の誇りに大きく関わることでした。

 現在では近年の大きな社会情勢の変化、生活様式や地域産業の変化にともない、これまでの徒弟制度のあり方も変わってきており、変化に合わせた技術継承の方法を考えていく必要に迫られています。

弟子入りから年季奉公

弟子入りをするとまず親方または兄弟子から、基本となる道具づくりを教わり、ノミの研ぎ方、持ち方、彫り方などを学びます。そして基礎技法の練習を伴い、作業が割り当てられます。彫りの仕事は親方が置目をして重要な部分を彫り、それを受け取った兄弟子が任された部分を彫り、一番簡単な部分を新米弟子が彫るという流れで行うのが通常です。多少の失敗も親方が修正できる範囲内であることを見込んで、新米弟子にも作業を任せられるのです。

 親方から直接教わる前に、兄弟子から親方の代わりに指導に受けます。一番上の兄弟子になると、弟弟子の面倒を見て、かつ仕事・作業の段取りを考えて弟弟子全員に指示を与えることまでが仕事として任せられるようになります。それは兄弟子の将来のことも考えてのことで、親方は常に弟子の技量を把握しており、段階的に仕事を任せていくのです。それは弟子を持つ親方の役目でもあります。

 新米の弟子にとっては、掃除や片付けなども仕事のひとつですが、むしろそれは親方や兄弟子から教わることへの感謝の気持ちから生じることであり、年季奉公とは単に技術だけを身に付けるのではなく、礼儀作法や接客、仕事の管理までを学んでようやく一人前になれるものなのです。やがて一人前になった証しとして年季明けを迎えます。

年季明けと礼奉公

 ひとり立ちできるようになると年季明けとなります。年季明けの儀式には、年季明けする弟子の親族、親方の親族、兄弟子たち全員が揃います。親方からお祝いとして贈られた紋付またはスーツを身に付けて年季明けの儀式に望みます。儀式では弟子と親方は、親子がための盃を交わして「親子」となり、一人前の沈金師と認められます。そして親族や列席している組合の人や取引先の人たちにお披露目となります。

 年季が明ければこれまでとは違い通常の報酬を受け取れるようになりますが、年季明けの儀式を開いてくれたことやこれまで面倒をみてくれたことへの御礼を込めて、年季明け後の1年間は通常より安い報酬で親方を手伝います。これを「礼奉公(れいほうこう)」と言います。

 礼奉公を終えたあとは多くの人が独立しますが、そのまま親方のもとに勤める人もいます。また勉強のために他の親方の元に訪れる人もいます。年季明けをして独立したとしても、沈金師として一人前の域に達するには10年程度かかるといわれています。

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