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御膳と庭




[堅牢優美な輪島塗の御膳]



冬の風物詩「兼六園の雪吊り」

「およばれ」にはじまる饗応の精神

 海や山野に恵まれ、海の幸・山の幸にことかかない石川にあって、味覚を豊かにしてきたのは、藩政時代から の風習も大きく影響している。  その風習とは、俗に「およばれ」と言われる饗宴である。祝い事や祭事のときに、客人を自宅に招いたり、あ るいは招かれたりするもので、藩が料理屋に大勢の人が集まるのを嫌ったために頻繁になったとも言われている。  当時は、一汁一菜、一汁三菜が常であったが、「およばれ」では、一ノ膳に加え二ノ膳が出ることもあり、そ のため、この地の武家や町家では膳や皿といった器を揃え、それが工芸の発達に寄与した。  また、何かあれば、客を招いてご馳走するもてなしの心が育まれ、その精神が今も連綿と受け継がれている。 石川県は、全国有数の温泉地としても有名だが、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で32年連続(2013年1月 11日現在)して総合第1位の評価を得る旅館などは、その象徴とも言えるだろう。

食事を楽しむための空間づくり

 食を構成する大切な要素として食材や器のほかに、食事を楽しむ雰囲気をつくるものとして庭も忘れてはならない。  例えば玉泉園(金沢市)は、加賀藩の大小将組頭を務めた脇田家の庭園で、兼六園の樹木を巧みに借景として 取り入れた凝った作庭である。このほか、前田家の家臣たちはそれぞれの屋敷に、自然の営みの息吹を感じるた めに庭を作っており、現在でも数多く残されている。加賀藩3代藩主前田利常も小堀遠州、金森宗和、千宗室らに 庭園の設計について教えをうけた。  また、庭木の枝を雪の重みから守る雪吊りも石川の冬の風物詩である。北陸には、北海道や東北に比べて水分が 多く、重い雪が降るために考え出されたものだが、幾何学模様の美しさは庭のアクセントになるほか、漆器などの 絵柄のモチーフともなっている。  もちろん、庭は食事を楽しむためだけに作られたものではない。しかし、庭を愛でながらの食事は、料理を一層 おいしく感じさせてくれるものだ。今日、多くの料亭や旅館で、そのような楽しみを満喫できるのも、藩政期以後、 熱心に庭作りが行われた金沢の都市基盤があったからにほかならない。


			

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