石川新情報書府
Vol.83 2007年2月15日号
石川新情報書府メールサービス
このメールは石川県内の文化・催事・イベント情報をお送りいたします。

書府コラム
 
緻密な技と重厚な美しさ

「加賀象嵌」の世界

                  

           

銀象嵌籠目紋鐙(銘:加州住吉平)

            

                  

■□■天下の名品■□■

 象嵌(ぞうがん)とは、金属、陶磁器、木材などの「地」に文様を彫り刻み、それらと異なる材料をはめ込んで装飾する技法のことです。加賀象嵌では鉄や銅の合金の地金(じがね)に、金や銀、銀と銅の合金などが埋め込まれています。

江戸時代には鎧(よろい)、兜(かぶと)、刀剣などの武具の装飾として用いられ、代々の加賀藩主から将軍家や諸大名への贈り物にされました。中でも乗馬の時に足を乗せる鐙(あぶみ)は、斬新なデザインと強い衝撃にもはがれ落ちることのない品質の良さで、「天下の名品」と讃えられたほどです。

加賀象嵌が名声を得たのには、美しさと頑丈さを生み出す独特の技法が大きく関わっています。象嵌には埋め込む金属「紋金(もんがね)」が、地金の部分より高くなる「高肉(たかにく)象嵌」、逆に低くなる「肉合(ししあい)象嵌」などさまざまな技法がありますが、加賀象嵌では「平(ひら)象嵌」が主流です。これは紋金を埋め込んだ表面がでこぼこにならずに平らで、まるで地金の表面に色を塗って文様を描いたかのような美しさです。ここに見た目だけではわからない高度な技術が隠されています。鏨(たがね)という道具で地金に文様を彫っていく時に、入り口よりも奥の部分を広げて彫るという緻密な技です。そうすることで、紋金を叩いて埋め込んでも、奥が広がっているため紋金が外れないのです。

          

         

金銀象嵌唐草文香炉(作:山尾次吉氏)

       

                     

■□■加賀藩の庇護によって発展■□■

 加賀象嵌は初代藩主・前田利家が京都から金工職人の名工である後藤琢乗(たくじょう)を招いたことから発展したといわれています。後藤家は刀装具類の細工を行う白銀師(しろがねし)の名門であり、加賀藩はその後も後藤家一門や武具の装飾を手がける鐙師(あぶみし)の名工・勝木家、小市家一門を召し抱えます。金沢城には御細工所(おさいくしょ)と呼ばれる武具や武器を補修する工房がありましたが、五代藩主・綱紀が元禄元年(1688年)に工芸品の制作・補修を行う場として整備。ここでは職人たちが象嵌を含む、漆芸、蒔絵、茜染めなど24種の工芸の制作に取り組みました。京都から招かれた名工たちは制作しながら技術指導も行い、加賀象嵌は進化していきます。

 しかし、その後、明治維新の廃刀令によって制作の中心であった刀剣がつくられなくなり、危機を迎えます。職人たちを失業状態から救うため、金沢市が中心となって金沢銅器会社を設立し、象嵌の花瓶や香炉、置物などの制作を始めます。卓越した技術により生み出された作品は、明治11年(1878年)のパリ万国博覧会などに出品され、海外でも高く評価されました。

 最近では、より身近に象嵌の美しさを楽しんでほしいとインテリアのほか、ブローチ、ペンダント、ネクタイピンなどの小物もつくられています。金属ならではの重厚感と高度な技術に裏打ちされた緻密な細工。その魅力はいつの時代も人の心を引きつけます。

              

                    

象嵌が施された花器、ペンダント、蓋置など

            

 

金沢市立泉野図書館の壁面装飾(作:中川衛氏)

 

 

【関連情報】

■石川新情報書府 金沢城下町の暮らし 伝統工芸 加賀象嵌

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/jouka/japanese/1200/

■石川県伝統産業工芸館 伝統工芸品36業種 加賀象嵌

http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/intro/HTML/H_S52001.html

■石川県の文化財 民俗文化財 手漉和紙、象嵌、木地製作用具

http://www.pref.ishikawa.jp/bunkazai/minzoku/1-3.htm

■金沢市キッズページ 伝統工芸 加賀象嵌

http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/kids/kougei/zougan.html

■成巽閣 成巽閣のあらまし

http://www.seisonkaku.com/aramashi/aramashi.html

■財団法人藩老本多蔵品館 展示室

http://www.honda-museum.jp/exhibition/index.html

 

 

【謎解き】

加賀象嵌は最終工程で、金属表面の酸化を防ぐため、ある野菜を使って洗浄します。その野菜とは何でしょうか?(正解はメールの最後にあります。)

い)金時草

ろ)大根

は)太きゅうり

                     

         


インフォメーション
民俗文化

万歳楽土

●開催日時 平成19年2月25日(日)(清水地区)
●開催場所 櫛比神社 清水神社
●お問合せ 門前総合支所 商工観光課
●TEL     (0768)42−8721

関連URL:輪島市
http://www.city.wajima.ishikawa.jp/kankou/manzairakudo.htm


工芸

もてなしの和食器歳時記

●開催日時 平成19年1月12日(金)〜3月4日(日)
         9:00〜17:00(入館は16:30まで)
           ※12月〜3月は毎週木曜日が休館です。
●開催場所 石川県立伝統産業工芸館
●料金     大人18歳以上250円(200円)
           小人17歳以下100円(80円)
            65歳以上200円(200円)
           ※カッコ内は30名以上の団体料金  
●お問合せ 石川県立伝統産業工芸館
●TEL       (076)262−2020

関連URL:石川県立伝統産業工芸館
http://shofu.pref.ishikawa.jp/densankan/


「Alternative Paradise 〜もうひとつの楽園」展

●開催日時 平成18年11月5日(土)〜平成19年3月5日(日)
            10:00〜18:00(金・土は20時まで)
●開催場所 金沢21世紀美術館
●料金     当日:一般1200円
         大学生・65歳以上1000円
         小中高生500円
            前売り・団体:一般1000円
                      大学生800円
                      小中高生400円
●お問合せ 金沢21世紀美術館
●TEL       (076)220−2800

関連URL:金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp/


音楽

第4回石川県学生オーケストラ&オーケストラ・アンサンブル金沢合同公演

●開催日時 平成19年2月28日(水)
           18:15開場/19:00開演
●開催場所 石川県立音楽堂コンサートホール
●料金     一般2000円/学生1000円(全席自由)
●お問合せ 石川県立音楽堂チケットボックス
●TEL       (076)232−8632

関連URL:石川県立音楽堂
http://www.ongakudo.pref.ishikawa.jp/toppage.html


舞台芸術

冬の観能の夕べ 〜若手の飛躍、重鎮の至芸〜

●開催日時 平成19年2月24日(土)
           14:30開場/15:00開演
●開催場所 石川県立能楽堂
●料金     1000円(1公演)/高校生以下無料
●お問合せ 石川県立能楽堂
●TEL       (076)264−2598

関連URL:石川県立能楽堂
http://www.pref.ishikawa.jp/nougakudo/nougakudoutop.htm


東二口文弥まつり

●開催日時 平成19年2月17日(土)、18日(日)
●開催場所 白山市東二口民俗資料館
●料金     無料
●お問合せ 白山市尾口支所産業建設課
●TEL       (0761)96−7011

関連URL:白山市
http://www.city.hakusan.ishikawa.jp/


能楽解説講座

●開催日時 平成19年2月17日(土)14:00〜16:00
●開催場所 金沢能楽美術館
●料金     受講料は無料(ただし能楽美術館観覧料が必要)
           ※観覧料 個人 300円
                    団体(20人以上) 250円
                    65歳以上 200円
                    高校生以下 無料
●お問合せ 金沢能楽美術館
●TEL       (076)220−2791

関連URL:金沢能楽美術館
http://www.kanazawa-noh-museum.gr.jp/


文芸

金沢文芸館 金沢五木寛之文庫 特別展示「インドへの旅」

●開催日時 平成18年12月15日(金)〜平成19年3月31日(土)
           11:00〜18:00(入館は17:30まで)
●開催場所 金沢文芸館
●料金     100円(入館料のみ)
●お問合せ 金沢文芸館
●TEL       (076)263−2444

関連URL:金沢文芸館
http://www2.spacelan.ne.jp/~bungeikan/


企画展「犀星の文学」―短冊・原稿・手紙から―

●開催日時 平成18年11月18日(土)〜平成19年3月11日(日)
            9:30〜17:00
●開催場所 室生犀星記念館
●料金     一般 300円
           団体(20名以上) 250円
           65歳以上 200円
           高校生以下 無料
●お問合せ 室生犀星記念館
●TEL        (076)245−1108

関連URL:室生犀星記念館
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunho/saisei/

【正解】

ろ)大根  「大根おろし」にして使います。

             

                

★ご愛読ありがとうございます。次回配信は3月1日の予定です。

                


石川新情報書府 文化のポータルサイト〜石川新情報書府
石川県が世界に誇る伝統文化へのいざない
お問い合わせ配信の停止・テキスト形式での配信希望
Copyright Ishikawa Prefecture JAPAN 1997-2007