【沈金師】
西村國保さん
沈金師・西村國保さん(58歳)がこの道に入ったのは、16歳の年のことだ。「学校を卒業したら、旅に出てコックにでもなるか」と考えていたが、卒業式を目前に控えたある日、たまたま沈金師を父に持つ同級生と帰り道が一緒になった。「卒業後、どうする?」と西村さんが訊ねたところ、同級生はきっぱり「沈金師になる」と言った。
「実はその時まで、輪島塗のことはほとんど知らなかったのです。それで『沈金の仕事は難しいだろうか』と聞いたら、同級生はこう言いました。基礎さえできれば、それほど難しくないはずだ、とね」。
人の運命は分からない。この会話がきっかけで、西村さんは卒業式の翌日から沈金の親方の家に通うようになった。初日、親方から一枚の輪島塗をもらった。けいこ用の見本板である。ボチ彫り、スジ彫り、模様彫りの手本が示され、弟子たちはこれに従い地道で根気のいる修業を進めていく。
「同級生が言った<基礎>をモノにするまで3年かかりました。でも、それだけでは一人前ではない。基礎を踏まえ、さまざまな応用ができるようになってこそ、一人前の沈金師です。ひと通りの仕事ができるようになったのは、やっと10年目ぐらいだったでしょうか」。
西村さんは「どんな注文がきても対応できるのが職人」と胸を張った。そのために、いまも新たな技法の開発に取り組む。輪島の職人たちは伝統に安住することなく、日々革新を怠らない。
漆の塗膜を彫り込んで、金銀の箔(はく)や粉を埋める沈金。まだ硬くなりきらない漆の肌に、繊細な線画を描く沈金は輪島ならではの技法だ。
けいこ用の見本板。一つずつ技を覚え、最後の段に到達するには最低3〜4年の歳月を要するという。
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木地師・垣地広志
| 沈金師・西村國保 |
蒔絵師・熊野貞久
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上塗師・黒田英男
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呂色師・中堅夫
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