まずは「私のお椀」から

  
 漆器を買いたいけれど、いざとなると種類が多くて迷ってしまう。そんな人も多いに違いない。初めて買う漆器は、一体どんなものが良いのだろうか。
 漆器はなんといっても値の張るものだから、せっかく買うなら、まずは日常使う機会の多いものから選ぶのが基本だ。となれば、何はともあれ「私のお椀」だろう。手に感ずる大きさ(手ごろ感)、肌合い(手ざわり、唇ざわり感)、色合い、加飾といったポイントをチェックしながら、自分に合ったお椀を探してみてほしい。自分の好みを探る「私のお椀」探しは、ほんの少し大げさに言えば、自分探しの旅でもある。
 漆器の機能がよくわかる汁椀から始めてもよい。アツアツの汁を楽しむ汁椀は、汁は熱く、手には温かく、熱くない汁椀が一番である。汁椀は漆器の持つ断熱性の良さを十二分に教えてくれるはずだ。
 一点豪華主義で日常を演出することも
 漆器の良し悪しは「使い込んでみないと、分からない」と言われるが、食卓にひんぱんに登場するお椀や汁椀を使い回すうち、漆器の品質のよさ、丈夫さが自然に見えてくる。初めて買った漆器の使い心地が気にいったら、次は家族のお椀や汁椀を取りそろえていこう。家族それぞれのお椀や汁椀を増やしていく際は、めいめいの印になるよう、沈金や蒔絵が施されたものを加えると、さらに面白い。加飾のし方で職人の技を楽しむようになれば、漆器の使い手として、あなたはもはや初心者ではない。
 日常的に使う漆器がそろったら、次は思いっきり発想を変えて、家族みんなで使う大皿や鉢など、一点豪華主義の器を奮発するのもよいかもしれない。お正月だけにしか登場しない大皿など、演出を凝らすと、食卓はより一層ドラマチックになっていく。
 漆器の色合いについては昔、祝儀には内が朱のものを、不祝儀には内が黒のものを使う、といったしきたりがあったが、いまは特別気にする必要はない。好みで使い分けて構わないという。

 塗師屋さんと仲良くなろう
 塗師屋さんと仲良くなることも、輪島塗を理解する大きな手掛かりとなる。親しくなった塗師屋さんに頼んで、職人の仕事ぶりを見せてもらうのもよい勉強になる。輪島塗職人の仕事は細分化しているので、その仕事ぶりの一端を垣間見るだけで、島塗の値打ちが分かろうというものだ。それと同時に、塗を見る目も肥えていくに違いない。 


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