暮らしのなかで脈々と使い続けられてきた漆器だが、戦後、日本人の生活様式の変化とともに使われる機会がめっきり少なくなり、高級で扱いにくいというイメージが一般に定着してしまった。だが最近は、暮らしの中でより身近に漆器を使って日常生活を楽しもうという考え方が一方では増えてきた。このところ注目を集めているテーブルコーディネートで漆器を積極的に取り入れた演出が多く見られるようになったのも、そんな傾向の表れだろう。陶磁器やガラス器と組み合わせることによって、お互いの持ち味がより引き出されるのも、まがいものではない本物の漆器ならではのことだろう。
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【おはよう朝ごはん】 朝食のテーブルには白漆を塗った輪島塗の卓上膳を並べ、洋食器を配した。お年寄りはおかゆ、子供たちはパンと食べるものは違っても、違和感のない食卓を演出する。
 「輪島塗というと高級品のイメージがありますが、本来は日常使うのに最も適した器です。職人さんの手からいくつもの工程を経て作り出される輪島塗は、手作りならではの温かみがあります。毎日使ってこそ、輪島塗の良さがわかってもらえると思います」と語るのは、輪島市内で漆器にかかわる女性8人で構成する「彩漆会」のメンバー大崎悦子さんである。漆器を身近な生活に取り入れていくことで輪島塗の普及を目指す「彩漆会」は、2年前から2月に東京ドームで開催される「テーブルウェア・フェスティバル」にも漆器を中心とした使い方の提案をしてきた。
 「会場では、私たちが展示した輪島塗のコーナーに足を止めて熱心にご覧になってくださる方がたくさんいました。彩漆会のメンバーはテーブルコーディネートに関しては素人ですが、漆器と一番身近に生活している者ばかりです。普段の日常の使い方、取り扱い方に共感してもらえるところがたくさんあったのではないでしょうか」
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新春の集い 押し入れで眠っていた昔の杯洗を盛器に用い、切子のぐい呑みと昔の乾漆椀をのせた黒塗りのお敷。朱塗りで沈金の加飾がある杯洗が華やかな新春の食卓を彩る。
テーブルで気軽なお茶会 長手の重箱を一人ひとりのお弁当として用い、お薄の茶碗、お菓子入れに洋食器を組み合わせる。かたくなりがちなお茶席もなごみ、気どらないお茶会ができるだろう。
 「テーブルウェアフェスティバル2001」では、彩漆会のメンバーがそれぞれ自分の家にある漆器とガラス、洋食器などを組み合わせ、テーマを「だんらん」とし、女性らしい6つの食卓シーンを演出した。そのなかから4点のテーブルコーディネートをここで紹介しよう。

インドネシアの思い出 旅行好きなメンバーがインドネシアに行った思い出を食卓で表現。汁椀を取り皿に用いた。インドネシア料理にも漆器は不思議とよく合う。楽しかった旅行の思い出話が弾むだろう。

 最後に輪島塗をふだん使いするコツを大崎さんにうかがった。
「たとえば黒塗りのふた付き椀を購入した場合、汁物・煮物に使うだけではなく、ふたをお皿代わりに使っても面白いですよ。一人前のお刺し身をお椀のふたに盛り付けても、不思議とお刺し身が映えて、おいしそうに見えます。また、和食だけではなく、アツアツのシチューやスープを入れても、素材が木ですから、熱さを和らげ手に持ちやすい。逆にアイスクリームやサラダを入れてもお洒落です。お重箱もお正月に使うだけでなくサンドイッチを入れても、ふたがあるからパンが乾いてパサパサにならないので、具合がいいですよ。炊き込みご飯やちらし寿司を入れて、一人前ずつお弁当の代わりに使ってもいいと思います。使われる方のアイディア次第で、一器多様に使ってもらえたらうれしいです」。



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